介護施設内で転倒事故が起こりやすいのは、日常的に生活するベットからの移動時です。ベッドから起き上がり、車椅子への移動時に、移るタイミングが合わずにずり落ちてしまうことがあります。また、ベッドに寝ていて転落することもあります。これは「身体的拘束廃止」が介護保険制度で義務とされているため、ベッド全てを柵で囲ってしまうことができません。そのため、寝返りを打ったときに柵の無い場所から、転落してしまう可能性があるのです。
また、座った状態でも足の筋力の衰えから、体を支えきれずにずり落ちてしまうこともあります。そのため、スタッフがちょっと目を離したすきなどに、転倒や転落事故が起きやすいです。他にもトイレの転倒事故もよくあります。座るときは手すりを持って座るが、立つときはズボンをはいたり、他の動作に気を取られて手すりにつかまらずに動くことも考えられます。認知症の利用者であれば、手すりがあることを忘れてしまうこともあります。トイレに座らせるまでは介助しますが、終わってからタイミング良く介助につけないこともあるため、利用者が自分の判断で動いて転倒してしまうこともあります。
また、浴室も水で滑りやすく転倒しやすい場所です。また、利用者が移動する動線上に物が置かれていて、避けようとして転倒するなど、日常生活をする環境の中には、転倒する要因がたくさん潜んでいます。スタッフが気をつけていても、実際に生活する利用者からヒヤリングを行うことで、転倒事故が起きそうな場所を事前に察知して、安全な動線を確保するのもいいでしょう。